乳歯は全部生えそろうと20本(上下左右ABCDE)になります。
今回の症例は、奥歯が生えてくる際に歯ぐきを破ってくる一過性のものだと思います。一般的には経過観察しますが、周囲の歯ぐきが赤く腫れたり、赤紫色に腫れたり、【痛がる様子】が見られたら、必ず受診して下さい。
新たな歯が生えるとき、前歯は先端がとがっている為、歯ぐきを破るときに少し炎症が起きることはあっても、歯ぐきが白くなる程度で、比較的すんなりと生えてきます。
一方、今回の症例のような上の歯の奥歯は、噛む面がある為、生える時にいろいろな症状が起こりやすくなります。生える直前くらいに、奥歯を被っている歯ぐきが腫れてくることがあり、これを「萌出性のう胞(ホウシュツセイノウホウ)」と言います。そこに出血が加わると青紫色に腫れてうっ血することもあります。軽く触っただけでも痛がります。これを「萌出性血腫(ホウシュツセイケッシュ)」と言います。今回の症例はまさにこの萌出性血腫!。1歳児/体重9kg/♂のお子様で痛くて!?泣いているため、初診時はレントゲン撮影し精査し様子を観察しました。2回目来院時にお母さんに話を聞き、痛みの程度、腫れ具合などを考慮し切開・抗菌薬シロップ・鎮痛剤を処方しました。3回目切開した次の日に消毒に来ていただきました。腫れも引き、綺麗なピンク色になりました(術前術後の写真添付)
通常は無痛性が多い為、経過を観察しています。奥歯が生えて来ると、腫れは自然に消失します。
いずれにしても
腫れてるな!
痛がってるな!
何か普段と変わったことがありましたら必ず受診して下さい。
✳添付写真(左・施術1日経過後、綺麗なピンク色になりました)